A 以前から、映画は「楽しみながら英語を学べる最高の教材」「生きた英語の宝庫」といわれてきました。特に最近では、DVDの映画が比較的安く手に入りやすくなり、映画の英語も手軽に聞けるようになったので、映画を英語のリスニング学習の教材に使えばよいという声はますます大きくなっています。 しかし、ここで忘れてはならないことがあります。 それは、映画に出てくる英語は、必ずしも正確とは限らないことです。くずれたことばやスラングが頻繁に出てきます。発音も明瞭ではなく、会話のスピードも非常に速いことが多いのです。 一方、私たち日本人がノンネイティブとしてまず必要とする英語は、スラングなどではなく、標準的な英語です。典型的には、テレビやラジオのニュース番組でアナウンサーが話すような英語です。 ノンネイティブとしてコミュニケーションに英語を使うには、このレベルの英語で不自由することはありません。 もちろん、映画のようなインフォーマルな英語も聞き取れるようになりたい人には、映画は格好の教材になります。 ただし、ノンネイティブが、インフォーマルな英語を完璧に習得するには、大変な努力が必要です。映画は少なくとも、初級者の教材としては、不適切です。別な言い方をすれば、映画は上級者向けの教材なのです。 |